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事例研究

Warning Letter(警告書)やMDRなど、さまざまな角度から事例を取り上げ解析しています。 

QMSは法規則の対象、違反すれば前科がつく可能性も

「この程度の知識でISO審査をパスさせたなんて…」と思ってしまうよう品質管理の担当者が、定年後に認証機関の監査員として他社を監査する場合があります。また、QMSの本質的な知識がなく、現場での品質改善の経験もない人がコンサルタントとして活動することもあります。

このような状況が続けば、日本の品質管理システムが向上しないのは火を見るよりも明らかです。

本来、QMSはプロセスアプローチを通じて品質を改善することが求められるものです。しかし、そうした本質を忘れてしまい、欧米の規格戦略に惑わされた経営者たちは、ISOの品質管理に対して誤った幻想を抱いています。そのような経営者たちは手順が整っていればそれで良しと考え、欧米のやり方を無条件に正しいと信じています。

さらに、十分な教育や訓練を受けていない多くの内部監査員が、現状を正確に報告していないことも問題です。内部監査は片手間でできるものではありません。指名された監査員たちも負担に感じているため、忖度が蔓延し、正確な報告が行われていないと考えられます。

 

会社経営は人生と同じで、間違いを経験しないと学習できません。
しかし、医療機器の分野においてQMSは法規制の対象です。違反を犯せば罰則規定が適用され、前科がつく可能性があることを理解しておくべきです。

データを偽造することで患者の命が失われることもある

神戸製鋼や日産自動車、スズキ自動車、東レといった名の知られた日本企業が品質データを偽装したことにより、社会的信用を失い、機会損失につながった事件を覚えているでしょうか。

こうしたデータ偽装が行われるのは、ISO規格に基づき手順を整え、監査を通過できれば十分という考えが根強いことが原因だと考えられます。

その結果、アメリカ市場向け医療機器の品質管理システム(QMS)も、手順を作ってくれるコンサルタントを探すだけでいいという考えを持つ企業が多い状況が続いています。

さらに、それを利用してテレビコマーシャルを流すコンサルティング会社まで存在しており、ますます問題が深刻化しています。他人が作った手順で会社の仕組みを運用することはできません。それにもかかわらず、誰かが作った手順で医療機器の製造を続ける企業もあります。

しかし、医療機器には人命がかかっているため、この状況が続くのは非常に危険です。

企業にとって重要なことは他社の失敗事例を学び、予防策を取り入れることです。一方で、成功事例を積極的に学び、改善を重ねていくことが必要不可欠です。

こうしたプロセスは、自社が失敗を経験することで、初めて真に理解できます。しかし医療機器の場合、データを偽造することで患者の命が失われる可能性があり、その結果、企業の存続が危ぶまれ、社員が路頭に迷う事態に陥る可能性もあります。この現実を、企業のマネジメントチームは真剣に認識する必要があります。

それにもかかわらず、多くの日本企業がそうした教訓を活かしていません。

プロセスアプローチの本質を理解し、未来の成功をつかもう

品質マネジメントシステム(QMS)は、プロセスアプローチとPDCAサイクルを基盤とし、リスクベースで運用されるべきものです。また、ISO 9001では経営をこの仕組みと統合し、経営者自身がその実行に責任を持つことを求めています。

しかし、形だけのマネジメントレビューでは真の品質保証は達成できません。
最近の企業不祥事を受け、ISOの方向性が「原点回帰」を目指したことは英断と言えるでしょう。

一方で、多くの企業がプロセスアプローチの本質を理解しておらず、具体的な取り組み方が分かりません。これまで、「システムに合わせれば良い」とされ、深く考える機会が奪われてきた背景も影響しています。

また、「品質は品質保証部門の仕事」という固定観念が広がり、これが結果的に現場との対話を欠く経営を生み出し、品質コストがボトムライン(最終的な利益)に悪影響を及ぼす原因となっています。この状況に対して現場も忖度し、問題を放置するケースが散見されるため、事態はより深刻です。

こうした課題に早く気付いて改善に取り組む企業だけが、未来で成功をつかむことができるでしょう。

購買プロセスでSCMを把握し、QCDに貢献

購買チームはサプライヤー監査を通じて、サプライヤーの品質や製品に関する情報を収集します。

この情報を活用し、研究や開発段階でエンジニアをサポートすることで、開発効率を向上させます。また、原材料やパーツの安定性を確保し、製造コストや物流の全体像を把握することで、最適なサプライヤーを提案し、コスト削減にも貢献できます。

こうしたプロセスは、什器や文房具といった会社の支出全般を管理し、効率的なコスト削減を実現することで、経営にも重要なプロセスとなります。

※詳細は「販売管理コースセミナー」をご受講ください。)

グローバル展開を難しくさせている要因とは?

アメリカのサービスマニュアルは内容やボリュームの面で日本のものを大きく上回っています。この差は製品設計の考え方の違いによるものです。

アメリカでは「製品は壊れるもの」と認識しいているため、設計段階からサービス性やメンテナンス方法を考慮して設計されます。一方で、日本では「製品は壊れないもの」という考え方が強いため、サービス性やメンテナンスについて考えずに設計する傾向にあります。

これは、製造パフォーマンスについても同じことが言えます。
サービス性やメンテナンスを無視した設計は、臨床現場で万が一の事態が生じた際に復旧の遅れにつながり、それが患者の命に関わる事態を引き起こす可能性があります。これがグローバル展開を難しくさせています。

グローバル市場で成功するためには、サービス設計を取り入れるプロセスや「コンカレント設計」という仕組みの導入が必要不可欠です。
※詳細は付帯サービスコースをご受講ください。

他社の失敗事例から学び、それを会社の仕組みとして取り入れる

失敗から得た教訓やノウハウは、時間が経つと失われやすいものです。失敗から得た教訓やノウハウを活かすためには、単なるスローガンで終わらせるのではなく、それらを組織的な仕組みに落とし込むことが重要です。

 

具体的には、CAPA(是正・予防措置)を活用したプロセスを構築し、そのプロセスを経由しなければ業務が進められないような仕組みを作る必要があります。

東日本大震災の際に東北各地に設置した津波警告の石碑が教訓として十分に活かされず、その結果、西日本豪雨災害で同様の悲劇が繰り返されました。広島市は市内に20か所の水害碑があることをホームページで紹介し、過去の災害を学ぶことの重要性を呼びかけていましたが、その教訓は活かされませんでした

他社の失敗事例から学び、それを会社の仕組みとして取り入れることは極めて重要です。そのようなプロセスを導入することで、組織全体が成長し、未来に向けてより強い基盤を築くことができるでしょう。

MDSAPを見直し、根本的な品質改善を進めよう

ISO認証企業であっても、本質を理解して品質改善を続けている例はほとんど見られません。

かつてのISO取得ブームでは、認証を受ければ品質が自然と向上するというような風潮がありました。その影響で、現在でも経営者の中には「ISO認証を受けているから大丈夫だ」という姿勢で、売上を重視して品質改善には十分なリソースが割かれていないケースが散見されます。

その結果として起きたのが、神戸製鋼の不祥事などに代表される品質問題です。
しかし、多くの企業が他人事のように捉え、教訓を活かそうとしません。

同様に、MDSAP(医療機器単一監査プログラム)でも、チェックリスト通りに手順を整えるだけで、根本的な品質改善が進んでいません。このため、問題が発生してもリコールが繰り返される状況に陥っています。特に医療機器の場合、これが患者の命に直結するため大きな課題となっています。

リコールによって利益が失われることを認識しないままでは、企業の発展は難しいでしょう。
一方で、他社の失敗から学び、「品質問題の原因はマネジメントにある」と理解している経営者は、ものづくりの初期段階から品質を確保するために、適切なプロセスを構築しようとしています。このような企業は品質改善への投資の仕方が根本的に異なります。

歴史を振り返ると、規制が緩和されるたびに命に関わる事件が起こり、そのたびに規制が強化されるということが繰り返されています。この教訓を活かし、より持続可能な品質マネジメントを目指すことが求められます。

社員の声に耳を傾けて、健全な企業文化を築く

職場のトップが大勢の社員の前で部下を叱責したり罵倒したりする場面を目にすることがあります。
このような行為が繰り返されると、それが会社の文化として定着し、部下も同じような行動をとるようになります。その結果、社員は委縮し、上司に意見を言えなくなる環境が生まれます。

こうした雰囲気の中では、プロセス改善やCAPAといった取り組みは実現できません。そのうえ、不正が現場で発生した場合でも、それを知った上司が見て見ぬふりをすることで、問題が一層深刻化してしまいます。これが、昨今の不正問題の背景にある状況です。

このような体制の会社は外部から改善を支援することが難しく、事態が表沙汰にならない限り、変わることはないでしょう。社員の声が活かされ、健全な企業文化を築く努力が必要です。

必要な教育や訓練を行うために、「力量表」を活用

FDA査察では、「この業務を行うために必要な教育や訓練は何ですか?」という質問を受けたことがあります。
ISOの「6.2 人的資源」では、業務を行う人に対して要求される力量を「適切な教育、訓練、技能及び経験に基づいた力量」と定義しています。( なお、「スキルマップ」と混同しないでください。スキルと力量は異なります。)

この質問に答えるには、4つの要素を明確に記載した「力量表」を提示し、その中で教育や訓練項目と受講した証拠(エビデンス)を示す必要があります。

ただし、コンサルティングの現場では、この力量表の作成プロセスで多くの企業が課題に直面します。
教育要件(教育のための手順書)が膨大であるため、途中で諦めたり、手抜きしたりすることが多いからです。

結果として、必要な教育や訓練が十分に実施されていないケースが見受けられます。

この状況を解決するには、基本を見失わずに、アナログ形式から早めにシステム化へ移行することが効果的と言えます。これにより、問題をスムーズに解決できるでしょう。

力量を維持・向上させるための訓練は、どの社員にも必要

多くの企業は「教育訓練規定」を用意しています。しかし、訓練計画を求めても示せないケースが多い傾向にあります。

企業が人を雇う際には、一定の教育履修要件を満たした人を選びます。つまり、一定の教育を受けた人が採用されます。

しかし、それだけでは十分ではありません。
企業には、それぞれ特有のルールがあるからです。
そのため、企業は社規や品質システムに基づく規定や手順を教える、つまり「教育」を行い、働くための基礎的な知識を身に付けさせます。

とはいえ、知識だけでは仕事を遂行することはできません。
そこで、OJT(On-the-Job Training)と呼ばれる実地訓練を行います。OJTを通じて実際に仕事を経験し、必要なスキルを身に付けることで初めて一人前の業務が可能になります。OJTは、業務に必要なスキルを身に付けさせ、さらにその維持や向上を目指して行われます。

マネージャークラスの社員には新たな教育が不要だとされることもありますが、力量を維持・向上させるための訓練はどの社員に対しても不可欠です。QSR(品質システム規制)では、訓練を重視する姿勢が明確に見られます。この視点を持つことで、企業全体の成長と安定につながるでしょう。

水平展開は予防処置?

是正処置を実施後に水平展開することについて、『まだ問題が起きていない場合には予防処置でいいのでは?』と聞かれることがあります。

しかし、水平展開は是正処置の一環として行うことをお薦めします

たとえば自動車業界の規格である ISO/TS 16949 では、『8.5.2.3 是正処置の水平展開』において「組織は、不適合の原因を除去するために、是正処置や実施済みの管理方法を他の類似プロセスや製品にも適用しなければならない」と定めています。

また、この規格のガイダンスでは、水平展開が予防処置ではないことが明確に記されています。こうした学びを他の製品、プロセス、または拠点に活かすことにこそ、プロセスアプローチの本質があります。

データインテグリティに対応したシステム構築を急ぐ理由

2015年5月、化学及血清療法研究所のデータ偽装問題が明るみに出て、2017年10月には法人の解体に追い込まれそうになりました。神戸製鋼でも組織的なデータ偽装が問題となり、社会的な注目を浴びました。また日産自動車では、資格を持たない人が最終検査を実施し、資格を持つ者が行ったように偽装して印鑑を押印したことで、結果的に偽装行為が発覚して生産停止に追い込まれました。

これらの出来事をきっかけにコンプライアンスの問題が議論されていますが、それ以前に、なぜ内部監査やサプライヤー監査、ISO監査でこれらの不正を見抜けなかったのかが問われています。監査チームは各組織から独立し、社長直轄のプロフェッショナルなコンプライアンス監視組織であるべきだとの指摘があります。

こうした事件が繰り返される中で規制緩和が進む一方、行政機関(FDA)は査察の重点をデータインテグリティ(Data Integrity)に移しています。紙のデータへの信用が失われ、今ではバリデーションされたシステムからのデジタルデータだけが信頼される時代に入っています。

この変化を早急に理解し、データインテグリティに対応したシステム構築を急ぐ必要があります。

品質システムでいうプロセスアプローチの本質とは

優れた経営者は、中長期的な経営戦略をもとに組織を再編成する際、まず目標を達成するための主要プロセスを決めます。

その主要プロセスを支えるサブプロセスの運営は、主要プロセスの責任者(オーナー)に任せます。
そして、主要プロセスを円滑に動かすためには、部門横断的なクロスプロセスが必要です。場合によってはこのようなプロセスをもとに本部や部、課といった組織が構成されます。このときに大切なのは、過去の組織形態にとらわれないことです。

経営者は、経営会議を通じてプロセスのオーナー(直属の部下)に、目標達成のためのプロセスが適切に機能しているかどうかをパラメータを活用して傾向監視します。

社長は直属の部下にプロセスを任せ、プロセスが目的達成に向けて機能しているかを監視する役割を担います。
これこそが品質システムでいうプロセスアプローチの本質です

良い経営者なるために大切なのは、プロセスアプローチの本質を理解すること

患者に重大な危害を与える事態が発生した場合、FDAは必ず特別査察を実施します。
この査察は通常のルーチン査察とは異なり、入念な事前準備が行われます。そのため、この特別査察に耐えられる企業はほぼなく、多くの場合、警告を受ける結果となります。

さらに、最悪の場合、出荷停止や高額な罰金が科され、株価が下落するという影響がでることもあります。経営者は、このタイミングでやむを得ずシステムを見直すことになります。

一方、品質システムの『プロセスアプローチ』は、単に品質を向上させるだけではなく、経営の本質にも迫る考え方です。優れた経営者はこの点に気づき、規制や品質システムの意義を理解し、それを経営にどのように活用するかを自ら考え、具体的な指示を行います。通常、そのような経営者には、有能な参謀役がいるものです。

*820.20 経営者の責任
ISOやQSRにおいて、品質システムが円滑に運用されるかどうかは、経営者の責任に大きく依存しています。ISO認証を取得しているからといって、それだけで品質が保証されるわけではないことは、誰もが知っていることです。そのため、経営者全員の意識を変えていくことが、担当役員の重要な役割といえるでしょう。

クオリス・イノーバでは、マネジメントチーム向けオンサイトセミナーも開催しています。

科学的根拠に基づき工程を設計する

客先のGAP監査で製造工程のパラメータの根拠を尋ねると、科学的な証拠を提示できない場合が多い傾向にあります。しかし工程バリデーションの必要性を指導すると、品質に問題がないにもかかわらず、経験や勘に頼る方法で不十分な理由はなにかと不満が示されます。

山口県岩国市周東町には、現在話題の純米大吟醸酒を生産する旭酒造があります。
ここで造られる日本酒はワインのような風味で有名になり、入手困難なほどです。

酒を嗜まない私が注目したのはその製造方法です。
ここでは杜氏の勘や経験に頼って造られているのではなく、若い社員が科学的なデータに基づいた手順に従って製造しています。その結果、品質の高い安定した味と製造が実現されています。これは科学的な実験を重ねたデータを基に製造方法を確立した成果です。

同様に、医療機器の工程設計ではプロセスバリデーションを活用し、設定パラメータの根拠を導き出します。旭酒造が米の水分含有時間や発酵に適した時間を実験によって見つけ出したように、医療機器の場合も統計的な試験を繰り返してパラメータ設定の根拠を明確にします。

なぜこれが重要なのでしょうか?

それは医療機器の工程にバラツキがあると患者の命に直結するからです。しかし現状では工程のバラツキを統計的に監視していないため、出荷後に苦情が増えるという課題を抱えています。実際に、苦情の原因をたどるとパラメータの設定値に問題があったということもあります。

*820.30
設計管理の適用範囲には製品設計と工程設計があります。
ただし設計バリデーションについては、工程設計の場合には『820.75 プロセスバリデーション』が適用されます。

クオリス・イノーバでは、設計管理コースとプロセスバリデーションコースを組み合わせて2日間のセミナー形式で実施しています。製品設計者が工程設計を理解していないと、そのニーズを製品設計に反映できないという問題もあるからです。

他社の手順は参考程度、マネしただけでは効果なし

「QSRに準拠している」と謳われた手順書が販売されていることがあります。

ただ、他社の手順を参考にする程度なら問題ありませんが、マネしただけでは効果がありません。査察時にその手順を説明できなかったり、内容を理解していなかったりするため、査察官に手順に沿ったエビデンスを示すことも難しくなります。

このような背景があることが、さらに新たな商売が生まれることにつながっています。

販売されている手順書の多くは、規制や規格、ガイダンスが盛り込まれていますが、実際の運用実績がないものがほとんどです。つまり、手順書に書かれている内容をそのまま導入している企業に対し、『この手順のフローチャートを書いてみて?』と監査員が指示を出した場合、次のような光景が繰り広げられるかもしれないということです。

ひとり目の社員が『えーっと…(時間をかけてやっと描いた結果)こうです!』と応えたあとに、別の社員からは『え?うちはこうしているけど、違うの?』、さらに別の社員からは『俺たちはこう…』という声が上がる。

ようするに、運用実績のない手順書のやり方をマネしただけでは、社員一人ひとりが理解できず、現場の責任者だけが困惑してしまうという状況に陥りかねないということです。

手順書には正しい作り方があります。
内容を理解していない人が作った手順書では、だれもその通りに作業できません。
まず規制や規格、ガイドラインの本質を理解し、フローチャートを作成してトライアル運用を行ってみないと、実用的な手順書にはなりません。

その手順書を運用に落とし込むにはさらなる努力が必要です。
そのためには、山本五十六の名言が参考になります。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」。
この言葉のように、実際に見せて、説明し、実行させ、そして褒めることで、人は動き始めます。

クオリス・イノーバが監査だけの依頼を断る理由

FDA査察前の監査を依頼されることがありますが、監査だけの依頼はお断りをしています。
ISO文化が濃い企業では、単純な質問への回答ができず、監査が無駄に終わることが多いからです。

ISO監査では指摘されませんが、FDA査察では『手順の説明』『結果のエビデンス』を求める質問が中心です。しかし、多くの企業がこれに答えられず、現実を受け入れない傾向があります。

事前にトレーニングを実施すると状況が一変し、『エビデンスがないとはこういうことか』ということを実感します。また、手順書通りに業務が行われていない点に驚くこともあり、経営層はショックを受けます。

監査では設計からトレーサビリティを確認しますが、たとえば『梱包箱の指示はどこから来ているのか』という質問に対し、答えられない人がいることは珍しくありません。

プロの監査員は、事前に行う工場ツアーを通じて問題点を迅速に把握します。

FDA警告書の重要性を理解しなければ、多大な代償を払うことに

日本の大手医療機器メーカーのアメリカ現地法人が医療機器の一部販売停止と28億円の制裁金支払いに合意。

このニュースは2011年3月23日に報道され、日本の親会社の株価も下落しました。この28億円という額は、あれほど話題となったトヨタリコール問題における和解金15億円を上回ります。

何が原因だったのでしょうか?

FDAのWebサイトで公開されている情報によると、問題は過去の査察にありました。
FDAの査察で一度『Warning Letter(警告書)』を受けると、その後の査察は特別査察となり、改善が不十分であれば2度目の警告書が発行されます。

この企業の場合、2004年に1度目、2006年に2度目の警告書を受け取っており、2010年の査察でついに販売停止と制裁金の処分が下されました。

FDA管轄の医療機器・放射線保険センター(CDRH)のディレクターは次のようにコメントしています:
『医療機器製造業者は、FDAのGMP(適正製造基準)およびMDR(医療機器報告)を順守しなければならない。今回の措置はその良い例であり、私たちは安全で性能基準を満たした高品質の医療機器を通じて患者を守ることを目指している。』

この事例が示すように、FDA警告書の重要性を理解しなければ、多大な代償を払うことになります。日本の医療機器メーカーの経営陣は、今後同じような事態を防ぐために、警告書の本質を真剣に受け止める必要があります。

QSR導入成功の鍵は、品質向上を通じて企業価値を高めること

『セミナーで教えられた通り、QSRとISO 13485の差分表を作り、差分を埋めて手順書を作成しました。これでFDA査察は問題ありません』と言われることがあります。

このような指導が未だに行われているのは非常に残念です。差分対応だけではFDA査察に対応することは難しく、むしろ品質問題の再発が避けられません。

ISOは、日本の品質向上を妨げてきた一因でもあります。
ISO取得によって品質が向上したように見えるのは錯覚にすぎません。ISOを十分に理解し順守できていない企業が、QSRとの差分対応だけで何が改善できるのでしょうか?

実際、QSRが求めるのは、かつて日本が重視していたTQM(全社的品質管理)です。

最近のISO 9001もようやくTQMの重要性に気づき始めました。
ただ言葉で伝えても理解しづらいため、企業内トレーニングやFDA模擬監査を行うことで、ようやくISOすら満足に対応できていない現実に気づくケースがほとんどです。この現実にショックを受ける経営者も少なくありません。

NB(認証機関)の指摘が少ないのは、彼らが商売である以上、厳しい指摘を避ける傾向にあるためです。

一方、FDA査察対応プロジェクトを実施した企業では、目に見える違いが現れます。
特にトップマネジメントが企業内トレーニングに積極的に参加し、プロジェクトをトップダウンで推進している企業は、改善のスピードが速いだけでなく、QSRを活用して企業の付加価値を高めようとする意識が伺えます。

品質向上を通じて企業価値を高めることこそ、QSR導入の成功の鍵です。

FDA側がミスすることも…。

最近、あるメーカーがFDAから『Warning Letter(警告書)』を受けました。

FDAのWarning Letterには通常、『あなたの返答によると…』という形式的な文言が含まれているのですが、このメーカーが受けたWarning Letterには、この文言が含まれていませんでした。

実は、FDAが指定した担当者ではなく、別の担当者がこのメーカの評価を担当していたため、FDAの査察の指摘「Observation」に対して提出したレスポンスレターを担当者が確認できず、『Warning Letter』が発行されてしまったのです。

この件はFDA側の怠慢とも言えます。
レスポンスレターを提出後は何度もFDAに連絡を取って届いているか否かを確認することが重要です。

FDAの査察でObservationを受けた場合、対応するレスポンスレターを提出することが必須です。これを怠るとWarning Letterを受ける可能性が高まります。

しかし、多くの日本企業がその内容で間違いを犯しがちです。CAPA形式で記載する必要があるにも関わらず、CAPAの基本を理解していないため、FDAから『返事として適切ではない』と言われてしまいます。ISOの知識だけではCAPAに対応するのは難しいのです。

CAPAが理解できていないと、Warning Letterを受ける確率が高まる

FDA査察でObservation(指摘)を受けた際には、その対応についてFDAにレスポンスレターを提出する必要があります。

レスポンスレターはCAPA形式で作成する必要がありますが、修正と是正の違いを理解していないと、Warning Letter(警告書)を受ける可能性が高まります。しかし、多くの企業ではCAPAを十分に理解していない手順や様式が使われているのが現状です。

実際、日本のFDA査察ではCAPAに関する指摘が特に多く、私たちの解析データでももっとも頻出する指摘項目です。品質問題が再発する背景には、根本原因が特定されず、単なる修正で対応が終わっているケースが多いからです。CAPAの理解と適切なマネジメントが行われなければ、日本の品質はさらに低下してしまいます。

さらに、ISO監査ではCAPAに関する指摘が少ないため、多くの企業が自分たちの取り組みに問題がないと誤解しています。また、一般的な講習会でも是正と予防が混同されて教えられるケースが見受けられます。ISO 9000に明確な定義が記載されているので、ぜひ確認していただきたいところです。

このような背景もあり、弊社のCAPAコースの受講者は少ないものの、参加された方々からは『目から鱗だった』との声が多く寄せられています。この経験を踏まえ、QSRコースを2日間に拡充し、CAPAの重要性をより深く学んでいただける内容にしています。

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